以下に転載するものは、1994年の1月、私が江戸川大学マス・コミュニケーション学科久保悌二郎ゼミ「情報産業論」に在籍中、卒業論文としてまとめたものである。

 このレポート中に登場する施設は1994年当時のものであることを予めお断りします。また、このレポートの内容を無断で転載することを禁止いたします。

大学卒業論文「仮想情報産業論 ~仮想世界の情報と仮想情報の産業化」(1993年~94年執筆)

『仮想情報産業論 ~仮想世界の情報と仮想情報の産業化~』

           9070127 森ヶ崎正人

1.はじめに

2.仮想情報産業とは何か
 A.仮想情報の定義
 B.インタラクティブメディア

3.仮想情報産業の実例
 A.TRPGとインタラクティブ小説からネットゲームへ
 B.アミューズメント産業
  (1)ゲームセンターはマルチプレイとポリゴンが主流
(2)ゲームと戦争
 C.現実世界に出現した仮想情報空間
 D.マーケティングと仮想情報

4.仮想情報の現実感

5.結論

 



1.はじめに


 現在、ファミコンやパソコン等のゲームでRPG(ロールプレイングゲーム:Role Playing Game)というものが流行している。RPGとは、実世界とは異なる仮想の世界の中で、その世界の登場人物の行うべき役割(Role)を演じる (Play)ことを楽しむゲーム(Game)である。RPGはそれほど新しいものではないが、それが現在コンピューターという新しい技術と融合し急激に発 展した。任天堂を始めとする、おもちゃ会社はこれに目をつけ成功し、またそのためのソフトウェア開発には初期投資が少なくてすむ事からベンチャービジネス として、多数のゲーム開発会社が設立され成功を納めている。仮想世界の産業である。この仮想世界産業が発達していく過程で、さらに副産物をも産みだした。 RPG攻略本の類がそれである。
 任天堂のファミリーコンピューター用に開発された『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』シリーズはそれ自身一大ブームを発生させた が、そのブームの影には攻略本の力があった。もしゲームが行き詰まった際に攻略本がなかったら、恐らくそこで多数の人々は挫折し、ゲームの楽しみを得られ ないままやめてしまっただろう。
 仮想世界産業と、攻略本のような仮想世界の上に存在する情報の産業の事をあわせて私はこれを仮想情報産業と名付けたい。
 ここではこの仮想情報産業に論点をおき、仮想世界の情報メディアと仮想情報の産業化について実際の事柄を交えて述べることにする。

 


2.仮想情報産業とは何か


A.仮想情報産業の定義
 仮想情報産業と言うとまず思い浮かべるものとしてバーチャル・リアリティ(Virtual Reality)があげられる。これは日本語に訳せば『仮想現実』であり、それを商売にしている企業も存在する。だが、バーチャル・リアリティ産業だけを 仮想情報産業と言う訳にはいかない。なぜならバーチャル・リアリティには『コンピューターが作りだした現実ではない映像の中にあたかも自分が入り込んでい るかのように感じさせるもの』という定義が一般的につけられており、コンピューターグラフィクスを使用しないものはバーチャル・リアリティでは無いとされ ているのである。つまり、バーチャル・リアリティ情報産業の分野の一つではあるが、その全てではないのである。では、仮想情報産業とは何なのか。
 仮想情報産業を定義するには、まず情報産業の定義について述べねばならない。普通、情報産業と言えば、データーベースサービスや放送業、出版業などを思い浮かべる。だが、仮想情報産業を述べるに当たっては、これはかなり狭義な意味であり物足りないものである。
 国立民族博物館長であり比較文明学者の梅棹忠夫氏は文明学的見地から情報産業について次のように述べている。
『情報という言葉を、もっと広く解釈して、人間と人間のあいだで伝達されるいっさいの記号の系列を意味するものとすれば、そのような情報のさまざ まな形態のものを「うる」商売は、新聞、ラジオ、テレビなどという代表的マスコミのほかに、いくらでも存在するのである。出版業はいうまでもなく、興信所 から旅行案内業、競馬や競輪の予想屋にいたるまで、おびただしい職種が、商品としての情報をあつかっているのである。』(*1)
 情報産業をこの定義とするならば、仮想情報産業は次のように定義される。

 仮想情報産業とは、人間と人間のあいだで伝達される現実に存在しないいっさいの記号の系列である仮想情報を売る商売のすべてである。

 このように定義すると仮想情報産業には2つのタイプが存在する事になる。一つは仮想情報そのものを商売にする産業。もう一つは仮想情報を 人々が楽しむために仮想情報について紹介したり、解説する産業である。例をあげるならば、前者はドラゴンクエストに代表されるRPGや漫画等であり、後者 はそれらの攻略本や解説本等の類である。
 この2つのタイプは一見明確な区切りがあるようだが、まれに複雑に絡み合う事もある。あるRPGの攻略方法を漫画等によって紹介する書籍等がこ れに相当する。漫画というものも一つの仮想世界であり、そこに登場するキャラクターが現実に発売されているゲームの攻略法を紹介するというものである。つ まり、映画の中で映画を見ているシーンが上映されているというような状況になっているわけである。


2-B インタラクティブメディア

 仮想情報産業を述べるに当たって、そのリアリティ性をみるものとして「インタラクティブ」という言葉が登場する。これは日本語に訳せば『対話型』 ということになるが、これは例えば現在のTVのような一方通行のメディアを双方向にし、視聴者がTVに参加できるようにするというような、マルチメディア のめざす方向の一つである。また、これはそのまま仮想世界をよりリアリティにするために欠かせないものでもある。つまり双方向性によって、それまで「見 る」だけの世界が「参加」できるメディアになるのである。
 この「参加」できるメディアのことをゲームデザイナーでジャーナリストのロー・R・アダムス3世は『マルチメディアフロンティア93』のインタビューの中で次のように述べている。
「マルチメディアより、もっと新しいコンセプトが”没入技術”です。これは、人間のために作られた環境で、その環境に人間を導くのです。水を見る のと、水面で泳ぐのと、水中に潜るのはずいぶん違います。ほとんどのシステムは、見るだけですし、マルチメディアも水面を泳いでいるだけです。没入技術 は、もぐり、呼吸することも可能です。私のゲームでそんな環境を実現したいのです。VR環境でゲームを作るのではなく、生活したいのです。10分でも1時 間でも、ゲームをするだけじゃなく、人によっては何日もいて、現実の世界よりもっともっと面白いから戻ることを忘れてしまう。人びとが選択できるライフス タイルをつくりたいと思います。」(*2)
 彼は没入技術とはつまり、人間を仮想情報の世界にのめりこませる技術であると言っている。その通りであろう。そして、のめり込ませるのに欠かせ ないものの一つが「インタラクティブ」であると考える。なぜならば、どんなに高画質でリアリティ溢れる映像が目の前に広がっていてもその世界が自分の意識 と無関係に進行していれば、それは単なる映画であり、その世界には自分の存在感は無いのである。見ている側が「何かしたい」と思ったときにその世界に対し て何らかのアプローチを行えば、それがちゃんとその世界にわずかでも影響を及ぼし、それによって自分がその世界の中に存在感を見いだすことができるのであ る。


3.仮想情報産業の実例


 では、実際に仮想産業の実例をあげてみよう。ここではその仮想情報が主に介するメディアによって、4種類のグループに分けて紹介する。

3-A.TRPGとインタラクティブ小説からネットゲームへ

・TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)
 一般的に日本ではRPGは、ドラゴンクエスト等に代表される対コンピューターによる、主人公成長型のゲームとして普及した。しかし、本来のRPGはロールプレイングゲームつまり、「キャラクターの役割をプレイするゲーム」であり、対人間のゲームである。
 一般的には、1人のマスターと数名のプレイヤーでゲームを行う。この際、プレイヤーは事前に自分がこのゲームで演じるキャラクターを設定する。 ゲームは原則としてプレイヤーの演じているキャラクター達(PCと呼ばれる)が主役となり、一つのストーリーを作り出す。ゲーム開始前にストーリーの筋を 知っているのはマスターだけであり、マスターがPC以外のキャラクター(NPC)を動かし、PC達をあらかじめ決めておいた事件に巻き込ませたり、解決の 糸口を与えるなどして、ストーリーに引き込んでいく。プレイヤーはPCになりきって、マスターの出した謎を解いたり、あるいは敵と戦ったりしながら事件を 解決していく。
 実際のゲームが参加者数人でテーブルを囲み、会話を中心に進めていく為、特に日本では「テーブルトーク」という意味の頭文字「T」を頭につけて区別している。
 このゲームは1973年にアメリカのTSR社が出版した『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以後D&D)が始まりである。日本では80年代後半から広まり始め、90年代前半から日本製のTRPGも発売されるようになった。
 基本的なTRPGの製品はルールブックとワールドガイドおよびそれらに関連する資料で1セットとなっている(日本には文庫タイプのものもある)。
 ルールそのものは簡単な計算式とダイスによるものが多く、特に根本的な違いは見られない。そのためTRPGを購入する人はワールドガイドを中心に選択する。
 ワールドガイドにはそのゲーム世界の物理法則、社会法則、地図等が事細かに記載されている。一部の製品を除いては、ゲームの世界は剣と魔法の世 界やサイバーパンクの世界、ホラーの世界等、現実世界とかけ離れている為、これらの資料はストーリーを設定するマスターにも、プレイヤーにも必要不可欠な ものとなっている。(資料)

・インタラクティブ小説
 文字メディアによる仮想情報産業はフィクション小説という形で昔から存在するものである。ここで述べるのはその中でも最近登場したインタラク ティブ小説についてである。通常の小説では読者はあくまで読者であるが、インタラクティブ小説では読者は参加者なのである。これらの小説は『読者参加小 説』等という名称で主にゲーム月刊雑誌等に掲載されている。

・『電脳筒井線』

 91年10月18日から朝日新聞朝刊に筒井康隆氏の「朝のガスパール」という新聞小説の連載が始まった。この小説、新聞小説としては初め ての試みとして、ASAHIパソコンネット上の会議室「電脳筒井線」とリンクし、読者の意見をインタラクティブに小説に反映していくものであった。この初 の試みは161回の連載によって完結、小説「朝のガスパール」として出版され、またパソコンネット上に書き込まれた読者の意見、「ガスパール世界」の登場 人物としての発言などもまとめられ、「電脳筒井線」として出版された。
 この小説はそれまで一部のマニアの間だけに知られていた「インタラクティブ小説」のメディアを新聞それも全国紙で展開したことで非常に有意義な ものであったといえる。しかし、実際に意見を作者の筒井氏にパソコン通信を利用して意見などを伝えることができたのは、朝日新聞読者のうちのほんのひとに ぎりに過ぎない。ほとんどの読者はまだパソコン通信という双方向のメディアを持っていない為、これはやむを得ないことである。また、もし全読者が双方向メ ディアを持っていたとすると、それを受ける筒井氏は膨大な分量になる意見にすべて目を通すことが不可能になることだろう。1:MASSのメディアでは自ず と限界が発生する。

・ネットゲーム
 「電脳筒井線」以前から「ネットゲーム」と呼ばれるゲームが一部の人々の間でプレイされるようになった。これはTRPGとインタラクティブ小説にネットワーク性を持たせたものである。
 以前からPBM(プレイバイメイル)という名前で、同人的な活動があったが、1988年に有限会社遊演体(現在は株式会社)が商業ベースで初め てのネットゲーム「ネットゲーム’88」(以後NG88と呼ぶ)の運営を開始した。その後、90年に「蓬莱学園の冒険!」(以後、蓬莱)、91年に「那由 他の果てに」(那由他)、93年に「夜桜忍法帖」(夜桜)というタイトルのネットゲームを次々に運営を始めた。また、91年には有限会社ホビーデーター が、93年には有限会社コスモエンジニアリングがそれぞれSFを主題としたネットゲーム(名称はネットワークRPG、メイルトークRPGと異なるものであ るが基本的にはネットゲームと同じである)を運営を始めた。
 ネットゲームの基本的なシステムは次の通りである。

 期間  :  1年間
 ターン :  1カ月1回 (ターンとは、ストーリーの節目で、この時に参加者は
               次のターンの行動を決定し、運営者に送る)
 内容  :  RPG、またはSLG
 メディア:  郵便による文章メディア
 参加人数:  1000人~5000人
 
 

 これは「電脳筒井線」とは異なり、ニューメディアは使用していないため、運営側と参加側のやりとりにかなりの時間を有する。例として主に遊演体の夜桜のシステムをあげる。
 まず最初にゲーム開始の2カ月程度前から参加者募集のパンフレットを配布する。このパンフレットには、物語の発端が書かれている小説形式の初期 情報(今回は対立している8つの忍者軍団が舞台)が数種類、ランダムに同封されている。参加者はその初期情報を元に、自分のキャラクターと最初の行動を決 定する。
 ゲームでは、まず全参加者にルールブック、世界設定を説明した冊子等が送られる。この際、全体に関わる重要なストーリーの謎となるものが付属し てくる。蓬莱では数ページの日記の断片(資料)であったが、夜桜では百人一首の1枚のカードである。これらはそれぞれの参加者にランダムに配布されるた め、すでにこの段階で参加者は情報交換を余儀なくされるため、自然と情報収集力のある参加者を中心としたネットワークが形成されるようになる。
 また、世界設定を説明する冊子は、参加者のキャラクターが入手した冊子というものになっており、付属の謎と共にリアリティ感形成の要素となっている。夜桜ではさらにラジオドラマを収録したCDが付属しており、聴覚面からも参加者にリアリティを与えている。
 また、参加者には毎月、交流誌『クリエイター』が送られる。これは50ページ程度の冊子で、これにはキャラクターがその世界で入手したという雑誌という想定で作られているページと、参加者同士の交流のページ、その他のページで構成されている。
 また、同時に「行動結果用紙」と「リアクション」が送られる。行動結果用紙には前回の自分のキャラクターの状態などが数値表示され、「リアク ション」には、自分のキャラクターが見ていた全体のストーリーの1シーンが小説形式で書かれている。前回の行動によってはその1シーンでキャラクターが活 躍している場合もある。参加者はこれら「クリエイター」「行動結果用紙」「リアクション」から次のターンの行動を決定し、規定の葉書で遊演体に郵送する。 遊演体ではこれらの行動葉書を元に『クリエイター』、『行動結果用紙』、『リアクション』を作成し、参加者に発送する。どの行動葉書を採用するかは、「リ アクション」を書く「マスター」と呼ばれる30人ほどの進行役とそれをとりまとめる1人の「グランドマスター」と呼ばれる総合監督が全体ストーリーや他の 行動葉書等の状況によって判断をする。
 この繰り返しが基本である。

 ここで注意しなければならないのは、全体のストーリーを知る重要な手がかりとなる「リアクション」はあくまで全体ストーリーの1部分であ り、それだけでは全体を知ることができないということである。その為、参加者はプライベートイベントと呼ばれる情報交換会や、同人誌の制作などで独自の情 報ネットワークを構築し情報交換を行う必要があるのだが、このゲームではキャラクターは「対立している8忍軍+抜け忍」のどれかに所属しているという設定 があり、自分の所属している忍軍を有利にする為に偽情報をばらまいたり、あるいは自分の忍軍を裏切って極秘情報を別の忍軍のキャラクターに流したりするこ とが多々ある。
 この情報戦がさらなるリアリティを生み出すのであるが、ここである問題が発生してしまった。「現実と虚構」の区別を明確にできない人々の存在で ある。彼らはネットゲームに夢中になるあまり、例えば裏切りをしたキャラクターを持つ参加者に対して匿名の脅迫状を送るなどの行為を行ってしまった。ネッ トゲームを運営する会社では常にそのようなことがないよう、交流誌等で呼びかけてはいるものの、このような問題は毎回何らかの形で発生してしまう。彼らの ような人々がこのような事を行ってしまう原因はどこにあるのであろうか。残念ながら実際にそのような人々と出会う機会が無いためこれについての回答は得ら れなかったが、この問題はネットゲームに留まらず仮想産業全体が発達して行く中で解決しなければならないものの一つであろう。

・コンピューターネットゲーム
 「ネットゲーム」をニューメディアの一つであるパソコン通信で行おうとして誕生したのが、コンピューターネットゲームである。大手商用BBSニ フティ・サーブではオンラインでゲームを楽しめるものとして『ハビタット』が1990年4月に、『AirWarrior』が1992年4月にそれぞれ開始 され現在も運用されている。ハビタットは仮想の世界の中に作りだした自分のキャラクターを生活させ、他の参加者と会話をしたりするもので特にシナリオとい うものは存在しない。CHAT(パソコン通信上で他のアクセス者と会話する機能)が発展しグラフィック化したものであり、仮想世界で日常生活を行うことが 目的である。AirWarriorは戦闘機による空戦ゲームで、他の参加者とある時は共同で、ある時は対立して戦うゲームであるが、これは普通の空戦ゲー ムが発展し、マルチプレイヤー化したものである。
 上記のゲームとは異なり、ネットゲームの発展版として(株)グローバルデータ通信者が1991年11月に開局したコンピューターネットゲーム専 門BBSがある。『Network-GL ~東京人工群島~』(以下GL)という名のこのBBSは、一般のBBSシステムを使用しながらネットゲームを行 うものである。
 通常BBSには多数の電子会議室があり、参加者はそこに色々な情報を書き込むことによって現実世界の情報交換を行う。GLではそれらの電子会議 室全てを『東京人工群島』という架空世界の地域に割り振り、参加者はその電子会議室に「そこを訪れたキャラクターの行動」を小説形式で書き込むのである。 そこに書き込んだ事は全てその世界では発生した事になるので、他のプレイヤーが自分の行動を書く際には、前の書き込みに影響されてしまうことになる。場合 によっては他の地域の会議室にも影響を与える事もある。つまり、時間的に平行した多数のリレー小説(一つの小説を多数の筆者がリレーしながら書く小説)に よって成り立っている世界なのである。(これをGLではDSP:デイリー・シミュレーション・プレイと呼ぶ)
 しかし、これだけでは単なる日常生活で終わってしまい、次第に参加者に飽きがきてゲームが停滞する可能性がある。そこで通常1~2本、『東京人 工群島』内で発生する事件を元にしたストーリーが本部から提供される。このストーリーは上記のものとは異なり、ストーリーテラー(ネットゲームでいうマス ター)が管理・進行させるストーリーである(これをOSP:オンライン・ストーリー・プレイと呼ぶ)。こちらの進行形態はネットゲームとほぼ同等で、電子 メールと専用の会議室を用いて進められる。
 また、OSPもDSPも、時間・場所は同一であるので、DSPのある出来事はOSPに影響し、OSPでの出来事もDSPに影響する。(OSPとDSPで矛盾する状態になった場合は原則としてOSPが優先される)
 このOSPの機能によって、GLの世界は長期に渡って継続する事が可能となっている。(ネットゲームが1世界当たり1年を限度とした1ストーリーという形態を採っているのに対して、GLでは1つの世界に複数のストーリーを随時行う形態を採っている)

 新聞というマスメディアで仮装世界のリアリティを求めたインタラクティブ小説も、郵便というパーソナルメディアを利用したネットゲーム も、パソコン通信というニューメディアでのコンピューターネットゲームも現在ではまだ発展途上であり、実験段階である。経費や、手間、参加可能な人数の少 なさ等、解決しなければならない問題点は多数残されている。これらの問題をクリアするにはまだ時間と試行錯誤が必要であろう。だがこれらはいずれ産業とし て成り立つものに違いない。


3B アミューズメント産業

3B(1).ゲームセンターはマルチプレイとポリゴンが主流
 現在、ゲームセンターに設置されているゲームで爆発的な人気を誇っているものが3つある。一つはUFOキャッチャーと呼ばれるクレーンゲームで ある。だが、これは単なる景品獲得ゲームであり、仮想情報産業ではない(あえて言うなら、その人気の元となっている賞品がアニメやゲームのキャラクターで あるということであろう)。
 もう一つの人気ゲームは、CAPCOM社が発売した「ストリートファイター2」に代表される対戦型格闘ゲームである。その後に発売された他社の 製品まで含めるとゲームセンターに設置されているビデオゲームの3割以上がこのタイプのゲームである。(柏駅3店舗で調査)格闘ものにこだわらず、カー レースものなどを含めた対戦ゲーム全体に広げれば5割を越えそうな勢いであり、2人以上で対戦または協力して同時にプレイできるゲームに至ってはマージャ ンや花札ゲーム以外はほとんどそうではないかと言えるほどである。なぜ、これらのゲームに人気があるのであろうか。
 我々の現実世界から戦闘というものがなくなって久しい。現在の若者は喧嘩や生身の勝負をしなくなった。それを安全に発散できるものとしてこれら のゲームは受け入れられるようになったのではないだろうか。仮想世界の中で喧嘩等の現実世界では危険とされている行為を行うことによって、代用しているの である。ではなぜ、対戦なのか。コンピューター相手では代用が不完全なのではないか。相手が人間である故に、実際の喧嘩並に知能が要求され、そして勝利を 獲たときに初めて喧嘩の代用ができるのであろう。
 3つ目はポリゴングラフィックによる、3D感あるゲームである。これらはシュミレーターに近いのでマシン自体が高価なので上記2つに比べるとそ れほど人気は高くない。しかし、ゲームセンターの客寄せとして大きな効果を上げている。その最も有名なものは、アメリカVirtual World Entertainmentの開発した『バトルテック』(写真)や、ナムコの『ギャラクシアン3』、『リッジレーサー』、日本セルモの『ガーディアン』 (開発中)等である。特に『リッジレーサー』や『ガーディアン』は従来のポリゴングラフィックに加え高性能なグローシェーディング(陰影処理)やテクス チャーマッピング(ポリゴン上の平面に写真等を貼りつける)によって現実の映像に近いグラフィックを可能にしている。

・リッジレーサーのジレンマ
 リッジレーサーは高性能なグラフィックによって作り出された現在最もリアルなカーレースゲームである。ゲームの操作もハンドル・アクセル・ブレーキ・オートマチックギアに加えクラッチ・ギアを装備し、実車の運転に近いものとなっている。
 ところが、このゲームをプレイした人の何割かが、ある共通の感想を述べた。それは「ゲームをプレイしているという気がしなくてつまらない」とい うものである。つまり、あまりにリアルすぎるためにゲームとしての面白さ、つまり仮想情報としての楽しみが欠落してしまっているのである。これが宇宙戦闘 のゲームであるギャラクシアン3や、ロボットバトルゲームのバトルテック等の場合では、このようなことは起こらない。なせならば、そもそも宇宙戦闘やロ ボットバトル自身は現在の技術では不可能なものであり、仮想世界だからである。リッジレーサーの場合、カーレースという現在世界でも実行可能なものである ため、あまりにリアルにしてしまうとわざわざゲームでやらなくても実際にそれを行うことができるものになってしまうのである。これは逆にいえば、ゲームの プレイヤーはあくまでゲームをゲームとして明確に現実世界と切り放して楽しみたいという意識を持っている証拠でもある。

 


3B(2).ゲームと戦争

 かつては先端技術はまず軍事技術に利用され、それから民需に応用されるものであった。しかし、特にバーチャル・リアリティに関しては軍事技術とし て開発されたものの、軍事利用よりもゲームに応用される方が先であった。読売新聞の93年7月14日付け記事に興味深い記事があったので転載する。

『戦車ゲームで実戦?体験
 【ワシントン13日=大内佐紀】十三日付米ワシントン・ポスト紙(早版)は、国防総省に戦車、戦闘機などの戦争用シミュレーターを販売していた米軍需関連企業が十二日、日本のゲーム会社とライセンス契約を結んだと伝えた。
 米マーティン・マリエッタ社(在メリーランド州)作成の戦車用シミュレーターで、日本のゲームメーカー、セガと契約が結ばれた。
 ポスト紙によると、国防総省は近年、作戦立案や実際の戦闘訓練などでコンピューター制御のシミュレーターを多用する傾向にある。今回、ライセン ス契約が結ばれた戦車用シミュレーターも、イラクの地形を思い出させる砂漠地帯に出現する敵軍戦車を倒しつつ、相手方陣地に突入するという極めてリアルな ものだという。
 国防総省の作戦室さながらの体験が、そのままゲームセンターで味わえることになるわけで、ポスト紙は、冷戦後の時代の「究極の軍民転換」の一例と評した。
 ちなみに、マリエッタ社広報担当者は、セガの戦車ゲームは来年末にはゲームセンターに並ぶことになろう、と想定している。
 米軍需関連企業と日本企業のライセンス契約といえば、今年三月、やはり国防総省のシミュレーターを作成していたコンピューター会社がゲームメーカー「ナムコ」と次世代電子ゲームの契約を結んだばかり。』(*)

 軍事技術がそのままアミューズメント産業に転用された例として非常に興味深い。このシミュレーターは恐らく実際の戦争とまったく同じ状況 が仮想情報システムの上で再現できるのであろう。もちろん、ディスプレイに表示される風景はコンピューターによって描かれたものである。しかし、最近の現 実の戦争に使用されているレーダーや高性能なカメラ等は一度コンピューターに取り込まれ、それを処理して表示されていると言われている。とすると、画面に 映し出されている敵影が本物なのか、ゲーム上の仮想のものなのか、操作者には区別がつかなくなるのではないか?
 ここで問題になってくるのは「現実と仮想の区別の曖昧化」である。ゲームだと思っていたものが本物で、本物だと思っていたものがゲームであると 勘違いする可能性が十分ある。例えば、湾岸戦争で多国籍軍の報道官が報道陣を前にして「イラク軍基地のピンポイント爆撃」の映像記録を映し出し、説明して いたが、あの映像は本当に現実の戦闘を正確に記録した映像なのだろうか。ひょっとするとコンピューターグラフィクスを使用して作り出された仮想の戦闘シー ンだったのかもしれない。しかし、真実を知ることの出来ない我々はあの映像を本物であると信じている。もしあの映像が仮想映像だとしたら、我々はまさに 「現実と仮想の区別」が曖昧になっているのである。逆にあの映像が本物だとしても仮想の映像のように見えてしまうのであれば、それもまた「現実と仮想の区 別」が曖昧になっているのである。


3C.現実世界に出現した仮想情報空間

 ある仮想情報に基づいて、それ専用の施設を建設し、参加者は実際にその『現実に造られた仮想世界』の中に入ってゆくものが近来増えつつある。仮想情報の伝達メディアは「実空間」である。
 ここでは千葉県浦安市にオープンし、東京観光の名所ともなっている東京ディズニーランドと世田谷区二子玉川園にあるナムコワンダーエッグを例にあげる。

・東京ディズニーランドのリアリティ
 ディズニーランドはその名の示すとおり、ディズニー映画という仮想世界を現実世界に出現させたテーマパークである。その3番目のディズニーランドが1983年、浦安の東京湾埋め立て地にオープンした東京ディズニーランドである。
 このディズニーランドはそれまで日本にあった遊園地の概念を大きく打ち破るものであった。
『ディズニーランドはパーク全体が一つの<世界>として創出されている。アメリカのそれも日本のそれも砂漠や埋め立て地といった何も存在しない空 間に意図的に作られ、生活空間からは切り放される。(中略)ディズニーランドでは徹底して外部との関係を断ち切る。開園当時物議をかもし出した弁当持ち込 み禁止も、パーク外にある生活を内部に進入させないための措置である』(*)
 ディズニーランドの敷地内からはどのようにしても外の世界は見えない。それも単なる柵のような現実のものに遮られているのではなく、例えば西部 劇の世界のウエスタンランドであれば丸木の壁であったり、河の向こうの森林であったりする。その仮想世界に存在するもので遮っているのである。実空間に造 り出された仮想世界に一番重要なのは「現実世界との隔離」であるが、ディズニーランドでは広大な敷地を利用して視覚的な隔離に成功している。
 また、一つ一つのアトラクションについてもそれまでにない方法でリアリティを発生させている。それはある一定速度で動く乗り物でに乗って移動することである。これだけでなぜリアリティが発生するのか。
『しかも巧妙なのは一つ一つの部屋を移動する際、観客はそこに描かれたワンエピソードに関わるすべての情報を受けとめることができない点だ。部屋全体をじっくり見回したり、セリフを充分聞きとる暇を与えず次に移動させられる』
 つまり、聞き取れなかった部分を観客に各々想像させるように仕組まれているのである。実際、現実世界で何か事件があったとしても当事者でなければそれをすべて知ることはできない。不完全な情報であるが故にリアリティを発生させているのである。

・ワンダーエッグのリアリティ
 東京二子玉川園に期間限定で出現したナムコワンダーエッグは、ナムコがそれまでに発売したアーケードゲームの世界を実体化させた施設である。 ディズニーランドと同じように現実世界と隔離させた世界を作り出しているのだが、住宅地という立地条件から隔離のしかたに違いがある。それは施設を敷地の 外周に隙間なく並べ、施設それ自身が壁になるように建設するという方法である。これによって現実世界との隔離に成功している。(ただ、数カ所やむを得ない 理由から外界が見えてしまう場所が存在しているのが残念である)

・遊園地の仮想情報化
 そもそも遊園地は体験情報を売りものにしているところである。ジェットコースターやバイキングなどは通常味わうことができない(危険が伴う)も のを安全に体験できるようなシステムである。基本的には落下感やG、めまい、恐怖などを体験させるのが目的である。しかし、東京ディズニーランド等の場合 はそれまでの恐さやスリル等を体験させるだけの目的ではなく、ある「ストーリー」に基づいた仮想世界を体験させる目的となっている。あくまで恐さやスリル はストーリーの為の味付けに過ぎないのである。
 また、遊園地全体にストーリーがあるのではないが、富士急ハイランドの[ゾーラ]のように本来遊園地の乗り物であるジェットコースターにゲーム 性とストーリー性を取り入れたものもある。私はこれにはまだ乗ったことがないが、松本孝幸氏が『遊園地の現在学』で紹介している。(『遊園地の現在学』で は[ZOID]と書かれているが、現在富士急ハイランドにあるものは[ゾーラ]という名前である。松本氏の誤りか、あるいは名称変更したものと思われる)
「ドーム型になっていて、四人一組で一台ずつ銃がついたコースターに乗り込む。コースに出てくるエイリアン(?)を銃で撃ちながら進む。当たると 得点が表示される。最後にジェッコースターみたいなコースが少しだけあって終わる。(中略)乗っているだけではなくて、こちら側から攻撃(参加)できる、 というのが新しいところだ。座席ごと移動するテレビゲームだと考えてもいい。」(*)
 ジェットコースターのようにかなりのスピードで動くものではないが、それと似たようなものがワンダーエッグにもある。[ドルアーガの塔]という 同名のTVゲームを大型ゲーム化したものがそれである。4人乗りのライドと呼ばれる乗り物に乗り込み、コースの途中に出現するモンスター達を銃で撃ち進む ものである。このドルアーガの塔の特徴は、コースの最後に2箇所のチェックポイントがあり、そのチェックポイントの前に出現したモンスターを倒しすことが できなかった場合、そこでライドがコースからはじかれてしまうようになっていることである。話によると全参加者のうち、最後まで到達できるのは1割程度と いうから、かなり難易度が高い。
 [ドルアーガの塔]はそもそも、1984年にナムコが発売したビデオゲームである。ギルという名の主人公を操作し、モンスターを倒しながら巫女 カイを助け出すというストーリーと謎ときが人気を呼び、その後続編が発売された。この[ドルアーガの塔]をアミューズメント施設として現実世界に構築し、 よりリアリティあるものにしたのがこのワンダーエッグ版なのである。
 このように遊園地のアトラクションも次第に仮想世界のストーリーを参加しながら楽しむ形式のものが多くなってきている。それだけ人気があるという証拠でもある。

3-D.マーケティングと仮想情報

 「モノ」を売るのに、仮想情報を付加して成功しているものは数多い。売れるか売れないかはマーケティングの成否に関わってくるものである が、そのマーケティングに重要なものは他との差異である。『商品のイメージがまずあって、それが過剰な差異を形成し、それに実体がついてくる。これが現代 の市場である。』(*)そのイメージを消費者に形成させるのに有効なもの、それが物語という仮想情報である。
 とくに顕著な例はTVコマーシャルである。単なる機能の説明だけのコマーシャルより、例えば日清の出前一丁の「出前坊やの物語」の方が消費者にインパクトを与え、商品名を強く印象づけることができるのである。
 また、仮想情報を付加することによって、直接の効果だけに留まらず、さらに間接的な効果も期待できる。なぜなら、仮想情報そのものが独立して広 まり、そして広まった先々でその元となった商品が再認識されるようになるからである。先の出前一丁で言うならば、付加された仮想情報として登場した出前坊 やとその家族のキャラクターが、そのインパクトの強さから次第に人気が高まり、現在ではそのぬいぐるみがUFOキャッチャー等の賞品として、各所のゲーム センターに置かれるようになったことである。これによってさらに出前坊やの人気が定着し、それがそのまま商品の知名度UPに貢献している。
 また、そのストーリーを解説する本を商品購入者へのプレゼントにすると、ストーリーを知る人々がさらにそのストーリーを楽しむためにその解説書 を欲しがるため、さらに商品の売上増につながる。(特に、最近は『サザエさんの秘密』的な解説本ブームでもあり、その効果もあった)
 現在の消費者はイメージでモノを購入する。バブル崩壊によって機能が重視されるようになり、ある程度和らいだとは言え、今だイメージに大きく影響される事に変わりはない。


4.仮想情報の現実感

 

 
 
 
 
 

 今まで各種の仮想情報産業について述べてきたが、では現実感のある仮想情報というものにはどのような要素があるのだろうか。インターラクティブ、ネットワーク、バーチャルリアリティがそれぞれ仮想情報のリアリティにどのように影響するかを示すと以下のようになる。

 インターラクティブ  : 仮想の世界において、行動がフィードバックされるため
             その世界に自分の存在感を得る。
 ネットワーク     : 仮想の世界の中で同時に過ごす他人の存在感を得る。
 バーチャルリアリティ : 五感に直接働きかけるので、仮想世界を感じられる。

 つまり、バーチャルリアリティで世界そのものを感じ、ネットワークで他人の存在を感じ、インターラクティブで自己の存在を感じると、人間 はリアリティを感じるのである。ただし現在、この3つをすべて満たすことは技術的に不可能である。特にバーチャルリアリティ技術は、視覚・聴覚(および若 干の触覚)以外はまだ発展途上である。だが、その足りない部分をイメージで補完することは可能だ。これにはある程度の慣れが必要であるが、RPGなどでそ のイメージを鍛えた若者達にとってはそれは自然に行う事ができることなのである。


5 結論

 

 
 
 
 
 

 仮想情報をよりリアルに体験させるためにVR技術が発達してきているが、これはあくまで視覚や触覚を直接刺激することを中心にしたリアリ ティである。これらはアイフォンを内蔵したゴーグルを被り、データーグローブやデータースーツを着込んでようやっと伝達できる感覚情報である。確かに視覚 的、感覚的にリアリティあふれるものとなるが、しかしそれらの器具になれていない人にとっては、そのような器具が身体に接触しているという時点でリアリ ティ感を失ってしまうのである。また、人間の仮想情報に対する感覚はよりリアルなものを求め続ける傾向があり、機器に依存した受け身のVRシステムでは初 めはリアリティ感をもったとしてもいずれ物足りなくなってしまうであろう。
 もちろんハードウェアの発達は仮想情報にリアリティ感を与える要因として非常に重要ものではある。しかし、リアリティを追求するあまり高度化し すぎたハードウェアシステムはコストが非常に高くなる。しかも、現在のVR技術では1つのシステムで仮想情報を体験させることのできる人間は1人もしくは 少人数である。つまり、一人一人が高価なシステムにお金を支払わなければならず、これでは産業として成り立たない。
 2章であげたロー・R・アダムス3世のインタビュー記事には次のような一文がある。「つまり、VRを体感するのにゴーグルやデータグローブは要 らないということです。要は精神状態なのです。私は技術屋ではなくクリエイティブな人間なので、クリエイティブ面に注目します」。つまりハードウェアが高 度であろうとなかろうと、受け手がリアリティを自ら感じようと自然に行動するようなソフトウェアがそこに存在していればリアリティは発生するのである。た とえば、先ほどリアリティを失うものとして上げた、アイフォン内臓のゴーグルも、それを装着することが違和感無い世界(たとえば、戦闘機等のゲームでは ゴーグルをヘルメットに見立てることができる)であれば、そのゴーグルの存在はリアリティにつながる。
 また、ネットゲームのような技術的には旧時代のメディアを使用していても、ネットワークを発生させるように巧妙に仕掛けられたソフトウェア的罠に参加者を陥ることによって、安価に多数の参加者を仮想情報の中に没入させることが可能なのである。
 では、安価にリアリティ感を発生させるソフトウェア的罠とは一体何なのであろうか。私は「不完全な情報伝達」をあげたい。ディズニーランドのア トラクションや、ネットゲーム等のように、仮想情報の世界で発生する情報を全て伝達するのではなく、一部だけを伝達するのである。その一部とは、その世界 に没入した人間が実際に受け取ることが可能であると想定される情報のみである。このような条件で不完全な情報を伝達された人間は、無意識にそれを完全なも のにしようと仮想世界のなかで努力する。その情報に描かれていない仮想の自分をイメージし、生活感をイメージする。そしてそれがリアリティにつながるので ある。これは非常に簡単なことである。しかし、仮想世界を楽しませる商売である仮想情報産業にとって、これは最も重要なものである。逆にいえば、仮想世界 での自己の存在を消費者にイメージさせる産業、それこそが仮想情報産業なのである。


【参考資料】

1.『情報の文明学』梅棹忠夫 中央公論社 1988年

2.『マルチメディアフロンティア93』F2株式会社編集 パイオニアLDC 1993年

3.『クリエイター』遊演体発行 1993年11月号

4.バトルテックパンフレット ZAP発行

5.『ゲーセン天国2号』徳間書店 1993年12月号

6.ゲームと戦争[読売 7月14日]  ( 1993-07-14-14:03 )
  NEC C&Cデーターベスより検索

7.8.『見えない物語』大塚英志 弓立社 1991年

9.『遊園地の現在学』松本孝幸 JICC 1992年

10.『ゲーセン天国2号』徳間書店 1993年12月号

11.『マルチメディアフロンティア93』F2株式会社編集 パイオニアLDC 1993年