(本記事は「新賀田友義」名義で執筆)
静かに火花を散らすアミューズメントパーク戦争
業務用やコンシューマーゲーム機でしのぎを削り合う、ゲームメーカー各社の新たなバトルステージが静かに進行している。アミューズメントパーク競 争だ。ナムコの「ワンダーエッグ」、「ナンジャタウン」、セガの「ジョイポリス」、S.N.Kの「ネオジオワールド」が現在そのステージに立っている。
同じアミューズメントパークといってもそのコンセプトは様々だ。例えばナムコのパークは「都市型テーマパーク」を称する。ディズニーランドに代 表される一般のテーマパークをゲーム技術の応用によって小型化したものだ。都市部の狭い立地スペースでもカスタマーが長時間滞在できるパークを造りだして いる。
対してセガの「ジョイポリス」は、いわゆるテーマパークと言うほどにはテーマストーリーは無い。セガの最新技術を余すところ無くアトラクション に導入、超大型体感ゲームを中心としたパーク構成となっている。また、セガは積極的な全国展開を実施、現在国内には7箇所のジョイポリスを有する。この7
箇所のパークの内、横浜を除く6箇所は全て他の企業が持つ大型ショッピングセンターのテナントという立場をとっており、ショッピングセンターとの相乗効果 による集客を重視している。
S.N.K「ネオジオワールド」の構成はセガに似ている。しかし、セガと大きく異なるのは、パークに隣接してボウリング場やカラオケ、飲食施設などを併設、これらを含めた総合的アミューズメント施設として「ネオジオワールド」としている点だ。
各社のパークに対するコンセプトの違いは、それぞれメリットとデメリットがある。例えば、1つのアトラクションを設置する場合でも、セガや S.N.Kではハードとソフトを完成させてしまえばパークに設置できるのに対して、テーマストーリーが明確なナムコのパークではそのテーマストーリーが足
枷となり設置できないということもあり得る。しかし、逆にテーマが希薄な「ジョイポリス」や「ネオジオワールド」は、テーマパークではなく、ゲームセン ターとして認知されやすいというデメリットがある。
いまのところ、この3社に関してはカスタマーのリピータ度や、時間単価、パーク周辺との相乗効果などが複雑に絡み合っており、どのパークが成功 しているかを判断するのは難しい。ましてアミューズメントパークについては実験的展開としているメーカーもあり、単純な収益度合いだけで判断することもで きない。
さて、現在はこの3社が中心となってアミューズメントパーク競争が進んでいるが、ここに新たに参入するメーカーが現れている。その最大手は2 社、「ソニー」と「ディズニー」である。ソニーは2000年の開業を目処にお台場に複合型施設「メディアージュ」をオープンさせる。すでにサンフランシス
コにオープンし、成功している「METREON(メトレオン)」と同様の施設展開となる予定だ。しかもこの場所は、セガの「東京ジョイポリス」の目と鼻の 先、S.N.Kの「ネオジオワールド東京ベイサイド」からも徒歩10分程度の場所。ナムコはお台場エリアにはパークを所有していないが、この「メディアー
ジュ」内にアトラクションテナントとして参入することが決定している。これにより、お台場エリアを中心としたアミューズメントパーク競争はかなり激しいも のになると予想できる。
また、「ディズニー」の動きも気になるところだ。まだ、日本国内への正式な参入は発表していないが、米国では既にオーランドに「ディズニークエ スト」という全く新しいタイプのアミューズメントパークを展開している。いずれ日本国内にも参入してくるだろうとの予想されているが、その場合テーマパー
クで、サービス・収益・集客共に世界最高峰を誇るディズニーは、現行アミューズメントパークメーカーにとって大きな驚異となることは間違いない。
ゲームメーカーから参入したナムコ・セガ・SNKと、家電・オーディオからコンシューマーゲーム機を経て参入するソニー、そしてテーマパークか ら参入するディズニーの、アミューズメントパーク戦争は、近い内に大戦争となる可能性を秘めている。カスタマーである我々は、純粋に面白いものが増えるこ
とになるので喜ばしいことだが、各メーカーの担当者にとってはなかなか厳しいものになるだろう。今後の行く末に注目し続けたい。