スタッフロールについて(1998年5月14日記載)

   映画やTV番組には最後に必ずスタッフロールというものが流れる。大抵はエンディングの曲に合わせて、番組シーンにスーパーインポーズされているアレである。
 このスタッフロールを見ていると、沢山の制作スタッフがそれぞれに明確な役割と責任を持っていることが解る。出演者・プロデューサーは勿論、アシスタントディレクターや、大道具、衣装・・・。実際にはたんなる雑用係に近い仕事をしている人の名前まで載ることがある。
 かつては、ゲームの世界では開発者名が表に出ることは少なかった。良いゲームを開発したスタッフを競合他社が引き抜くのを防ぐ意味もあったらしい。
 最近は、ゲームの世界でもスタッフロールがある。これはそのゲームを完了させなければ見ることが出来ない。しかし、それでもスタッフロールは存在し、(本名かペンネームかは別として)その制作した人の役割と責任が描かれる。
 スタッフロールというものは、制作する側が「この作品の●●は私が作った」と、宣言し責任の所在を明らかにするとともに、名前が載ることによる 制作意欲の増進効果があると考える。もし、どんなにがんばって作っても、その作品に名を残せないとしたら、制作者の志気は落ちるだろう。しかも、その作品 に最終的に金を払う人(プレイヤー)に対しての責任感も薄れてしまう。
 
 

アトラクションにもスタッフロールを

さて、遊園地やテーマパークのアトラクションに目を向けてみると、その作品の制作者が全く解らない。スタッフロールが無いのだ。希にプロデューサーなど の名前がアトラクションに載ることはある(スピルバーグ監督など)。しかし、それは制作責任を明確にしたものではなく、著名人が制作に関わっていることを 宣伝に利用するためだ。他の制作スタッフの名前が登場するアトラクションは、ほとんどない。
 アトラクションにも、スタッフロールは必要なのではないだろうか。もちろん、そのスタッフロールがそのアトラクションのリアリティを損なうよう なものであってはならない。「誰が作ったのだろう」と思った客以外には見えないように、それでいて制作者を知りたい客には見つかるように設置しなければな らない。
 例えば、ゲーム性のあるアトラクションなら完全成功したときに映像や出力用紙に出す。入力装置のあるアトラクションなら、簡単な隠しコマンドを入力することで出るようにする。それもできないのなら、例えばお化け屋敷の墓石すべてが制作スタッフの名前というのも面白い。
 「そんなことをしても誰も気がつかないじゃないか」と言う人もいるかもしれない。しかし、制作スタッフが、「このアトラクションに私の名前が記録される」と認知して作るアトラクションなら、いい加減な気持ちで作ったりはしないだろう。